あの人の挑戦ストーリー
- vol.30岩﨑充弘氏
株式会社エヴァー・グリーン 代表取締役 -
「稀薄な人間関係に一石投じる」ITを使う私たちの使命
何にチャレンジしているのか?
株式会社エヴァー・グリーンの代表取締役・岩﨑充弘さん。
「DIVINER」をはじめとしたファッションブランドのインターネット販売を手掛け、2017年度楽天市場でお客様から最も支持された店舗に贈られる「ショップオブザイヤー(メンズファッションジャンル)」受賞、Great Place To Work® Institute Japanが主催する2018年版「働きがいのある会社(従業員25-99人部門)」ランキングでベストカンパニーに選出。数々の実績をあげるエヴァー・グリーンの岩﨑さんの挑戦は、「繋がりのある、明るい未来を創る」ことです。
「インターネット販売」と「心の繋がり」。一見相反するようにも思えます。しかし、「稀薄な人間関係に一石投じる」ことは、インターネットを使う自分たちだからこそできること。岩﨑さんは、力強くそう語ります。
なぜ、チャレンジするようになったのか?
「カッコいい」
私たちの仕事は、この抽象概念を具現化することです。
孤独で、誰かに見られることを避けていた私がファッションと出会ったのは、高校生のときでした。特にこだわりもなく身につけていた“服”を脱ぎ、店員さんと一緒に選んだ“ファッション”を初めて身に纏ったその日。「いつもと違うね」「その服いいじゃん」と、学校へ行った途端に私は称賛と承認の声をたくさん浴びたのです。恥ずかしい反面、実はとても嬉しい気持ちになりました。これが、ファッションがこんなにも人に影響を与え、そして自分の心にも影響を与えるものだと、私が知った瞬間でした。
ファッションがもたらす「素敵な外見」。そして、それによって育まれる「自己肯定感」「自信」。高校生の私が経験したあの素晴らしい瞬間を、多くの人に味わってもらいたい。この思いで私はファッション事業を始めたのです。
何のために、チャレンジするのか?
「心の繋がり」
このことまでに視野が広がったきっかけは、父からのある言葉でした。
父は、地域密着の天ぷら屋を40年間営んでいます。その父が私に言ったこと。それは「人のために生まれたテクノロジーが人間関係を稀薄にした」ということでした。
これは多くの人が感じていることで、とりわけ新しい意見というわけではなかったと思います。しかし、父からの言葉は私にとっては特別でした。いつになく頭に引っかかったこの言葉が私を立ち止まらせ、深く考えるきっかけを与えてくれたのです。
私が行きついた結論。それは、自分たちが「稀薄な人間関係に一石を投じる」ということでした。このことこそが、私たちの使命だと感じたのです。ITを用いることでトレンドの分析・把握を行うことができる私たちにとって、商品を売ること自体はそこまで難しいことではありません。ニーズを見極め、それにあった商品を提供すれば、ある程度ならお客様に喜んでいただけるのです。「そんなITの恩恵を受ける私たちだからこそ、一歩先の挑戦をしなければならない」そう思った私は、「心の繋がり」をつくることこそが、まさにその挑戦だと思いました。
例えば、インターネットとリアル店舗とのコラボレーション。インターネットは、商品を無数にラインナップできる最高の環境です。しかし、そこには不安がつきもの。「思っていたものと違っていたら?」「サイズが合っていなかったら?」そんな不安を抱えたことがあるのではないでしょうか。インターネットで買ったものを、リアル店舗で試着。スタッフに相談し、変更することも可能です。ボタンを押せばすぐに商品が手元に届くことも大切ですが、このサービスなら、スタッフとの関りのなかで安心して商品をご購入いただくことが可能になります。
人同士の「心の繋がり」をつくること。私たちは、このことに挑戦しながら「カッコいい」を一人でも多くの人に広めていきます。そして、ファッションによって「自信」を持った人が、私のように孤独から抜け出し、たくさんの人との温かい繋がりのなかで生きていく。まだまだ道半ばではありますが、これからも未来をつくる挑戦を続けていきます。