あの人の挑戦ストーリー
- vol.04石川謙太郎氏
クロスカントリースキー -
目指すは世界NO.1!
クロスカントリースキー頂点への道
何にチャレンジしているのか?
スキー種目の中で日本が唯一、メダル獲得のない競技「クロスカントリー」。石川謙太郎選手(23歳)は、このクロスカントリースキーの数少ない選手のひとりです。父親の影響で3歳からスキーをはじめ、18歳で出場した「第1回 ユースオリンピック冬季競技大会」。そこで銀メダルを獲得し、オリンピックというカテゴリーでは日本人初の快挙を成し遂げました。現在、石川選手は単身ノルウェーに渡り、自己研鑽に励む日々を送っています。目指すは6年後の2022年北京冬季五輪で世界の頂点、金メダルを獲得することです。
なぜ、チャレンジするようになったのか?
クロスカントリースキーは知名度と実績の低さから国内支援が少なく、遠征や大会出場にかかる費用は選手個人の負担で賄われていることが多いのが現状です。たとえ日本代表になっても強化資金は乏しく、選手継続ができず、多くの選手が志半ばで引退していきます。父は大学卒業と同時に引退、企業を渡り歩いた後に高校教諭となり、クロスカントリースキーの指導者になったのです。
逆算思考の持ち主であった父は、小学4年生のある日、私に「おまえは将来何になりたいのか」と尋ねてきました。そして1年後の5年生から30歳くらいまでの人生設計書を書くよう、いってきたのです。私は、「クロスカントリースキーでオリンピック金メダル」と書きました。それを見て父は、「これがお前の達成したいことなんだな」と、その後高校を卒業するまでコーチとして厳しく指導にあたってくれました。父への会話はすべて敬語で、それくらいコーチとしての存在が私にとっては大きかったです。
練習の甲斐があって、高校最後の年に開催された「第1回ユースオリンピック冬季競技大会」におけるノルディックスキー距離男子10km クラシカル部門に、トップ差僅か11秒4で銀メダルを獲得します。その後日本代表候補にも選出されますが、成績が伸びず悩んでいました。そんなとき、高校の先輩でもある日本代表の石川正子さんに紹介され、ノルウェーのクラブチームコーチに練習メニューを組んでもらったのです。その成果に驚きました。まさに量より質を重視したトレーニング。これまでの練習量をせずとも筋持久力などの数値があがったのです。そこで、以前から心には描いていたスキー王国 ノルウェーへ行くことを決心しました。
何のために、チャレンジするのか?
様々な方々の支援のおかげでリレハンメルのプロクラブチーム「Team Synnfjell(チーム シンフェル)」へ入団し、現在はチーム所属という特別枠を獲得し、練習の日々を送っています。ノルウェーではトップクラスや有望な若手選手に対し、指導方法はもちろんトレーニングに専念できる場所の確保と国からの金銭的な支援のほか、企業スポンサーやプロチームから給与が支払われ、世界で闘うための環境が整備されています。一方、日本はクロスカントリーだけでなく、スキー種目すべてにおいて決して良い環境とは言えません。1924年に初開催された「シャモニーオリンピック冬季オリンピック」から90年あまり。クロスカントリースキーが日本に伝わってきてその間、未だにメダルの数は「0(ゼロ)」です。だからこそ、私が金メダルを獲得することで、支えてくださっている方々や、人生を捧げてくれている両親への恩返しができます。そして、日本におけるクロスカントリースキーの発展に繋がり、「挑戦する意義」とやればできるという「勇気」を多くの人に与えられると思っています。
今まで支えてくれた方々に私ができること、それは「世界ナンバー1を獲ること」です。この目標に向かって、これからも闘い走っていきます。