ストーリー(あの人の挑戦ストーリー)

vol.11 渡辺 雅司
株式会社船橋屋 代表取締役 八代目 当主
創業212年の伝統と革新が育む新しい時代への挑戦!
株式会社船橋屋 代表取締役 八代目 当主 渡辺 雅司氏

何にチャレンジしているのか?

江戸時代文化2年(1805年)創業の 元祖くず餅「船橋屋」は、亀戸天神参道に誕生以来、「原材料・水・木(樽)・無添加・鮮度・品質管理」にこだわり、450日間の熟成発酵を経て丁寧に作りあげたくず餅をわずか2日で売りきる愚直さで212年続いてきました。『くず餅ひと筋真っ直ぐに』を経営理念に、ひたすら「真っ直ぐ」にくず餅の磨き込みを重ね、「職人の手からお客様」へ届ける見事な「こだわり」と「おもてなしの心」は、会社組織としても、チームとしても「素晴らしい」の一言につきます。

しかし、創業当初から現在のような社員一丸の組織だったわけではありません。渡辺社長が船橋屋に入社した24年前は、親方絶対の職人世界。社内を活性化し、一体感を築くために考えた様々なプロジェクトも望む結果を生むことはなく、逆に「仕事が面白くない」と辞める社員が続出する結果に。そんな思いが伝わらず悩んだ日々から現在は脱却、伝統から革新を起こす仲間とともに、『HAKKO(発酵)の力で日本を元気に』をビジョンに掲げた挑戦を行っています。

なぜ、チャレンジするようになったのか?

船橋屋店頭

私はもともと家業を継ぐ意志はなく、異業種の「都市銀行」に大学卒業後に就職、「企業融資」を経て「債券トレーダー」になりますが、その間にバブルははじけ、銀行は積極融資から徹底回収の道をひた走る時代に突入していきます。そんな銀行目線で後ろ向きな仕事に意欲が失せていくのですが、そんな「バブル不況」の中でも業績を伸ばす会社の特徴を知ります。それは、「目先の利益に左右されない」「常にお客様目線」ということです。それに気づいた私は、モノづくりとマーケティングの観点に興味がわき、家業を継ぐ決心をします。

船橋屋には212年前から「売るよりつくれ」という家訓があります。それは、「売ることに目を向けるのではなく、いいものをつくりなさい」という意味です。ところが、当時の職人は仕事の時間以外は「自由気まま」「勝手にやる」という感じで、内部体制は無駄が多く、職人は時間をみつけてはパチンコに行く人までいる始末。「このままではいけない」と構造改革を行ったのですが、抵抗の末辞めていく者あり、批判ありの日々でとても悩みました。

そこで私は一方的な会話でなく、個々の生い立ちや生き様にも耳を傾け、一対一でじっくり話すように努めました。さらにマネジメント体制確立のために事業部門の縦軸とは別に、横軸で年齢も性別も部門に囚われない本人の意志で参加する「組織活性化プロジェクト」を立ち上げ、様々な取り組みを行ってきました。その革新が社員の自己成長につながり、満足できる経営へと社風を変えていきました。

何のために、チャレンジするのか?

船橋屋社員集合

船橋屋のマネジメントポリシーは、社長からパートさんまで全員が主役として「一燈照隅(いっとうしょうぐう)」、1人ひとりが自分の強みを発揮、輝くことで3つの事業を柱に展開しています。

1、 江戸から伝わる和菓子唯一の発酵食品である「くず餅」の伝統を次世代へと繋げる
2、 伝統を守るだけでなく、進化させる「創造継承」を行うこと
3、 くず餅乳酸菌サプリメント開発(新規事業)

特に3番目の新規事業は、船橋屋としての「新しい時代への挑戦」です。「くず餅乳酸菌のサプリメント」は、くず餅をつくる過程で、でんぷんを乳酸発酵させていますので、そこから乳酸菌を取り出してつくります。乳アレルギーの方にも乳酸菌を摂取いただけるだけでなく、日本人の体質に合っており、免疫力をあげることがわかっています。また、くず餅を真空パックや脱酸素剤を使用せず、無添加の自然のままで2日の消費期限をもう1日延ばす研究も行っています。

私たちはくず餅の存在を「刹那の口福(口に入れた瞬間の喜び)」と呼んでいます。人との縁を大事にしつつ、「老舗にして最新」の精神で、私たちは家訓の「売るよりつくれ」を商品づくりだけではなく、「人づくり」「客づくり」などの多彩な意味として捉えて邁進していきます。

 

動画メッセージ(挑戦者の声)